ある程度名の通った女優であるバレリア・ファルコンは、毎週木曜日往年の舞台女優アナ・ウルティアを訪ねている。ウルティアはディオゲネス症候群を患い、どん底の状態だ。彼女の斜陽は若い新進女優ナタリア・デミゲルの登場と重なり、ナタリアに、別名アディソン・ドウィットこと、シニカルなロレンソ・ルカスはぞっこんになる。ナタリアの幸せを壊す権利は誰にもない。彼女はとても細身だがスクリーンではぽっちゃりして見える。一方、ヴォルピ杯(ヴェネチア国際映画祭男優賞)の受賞者ダニエル・バルスは、自分の成功や金や魅力と、政界進出の可能性を秤に掛け、しばしば「俺は気が弱すぎる」という結論に達する。彼の妻シャーロット・サンクレールは芸者のように夫の世話をし、ダニエルの親友であるバレリアを嫌う。脳卒中、「イブの総て」の上演、宣言書の署名によって見えてくるのは、場を失う恐怖についての物語だ。