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Marta Sanz

Marta Sanz

マルタ‧サンス

マルタ‧サンスは博士(文献学)の学位をもっている。2007年、マリオ‧バルガス‧リョサNH文芸賞を受賞。アナグラマからの出版作は、『Black, black, black(ブラック、ブラック、ブラック)』(2014)、『Un buen detective no se casa jamás(名探偵は絶対結婚しない)』、 『Daniela Astor y la caja negra (ダニエラ‧アストルとブラックボックス)』、『La lección de anatomía (解剖学講座)』、 『Farándula (芸能界)』(2016年、エラルデ小説賞―当サイト2016年紹介作品)、『Clavícula(鎖骨)』、 『Amor fou (激情)』、 『Monstruas y centauras (女モンスターと女ケンタウロス)』。 それ以前に出版された小説には、『El frío (寒さ)』、 『Lenguas muertas(死語)』、 『Los mejores tiempos (最高の時代、2001年オホ‧クリティコ賞)』、 『Animales domésticos(飼いならされた動物)』、『Susana y los viejos (スサナと老人たち』(2006年ナダル賞最終候補)がある。

ある程度名の通った女優であるバレリア・ファルコンは、毎週木曜日往年の舞台女優アナ・ウルティアを訪ねている。ウルティアはディオゲネス症候群を患い、どん底の状態だ。彼女の斜陽は若い新進女優ナタリア・デミゲルの登場と重なり、ナタリアに、別名アディソン・ドウィットこと、シニカルなロレンソ・ルカスはぞっこんになる。ナタリアの幸せを壊す権利は誰にもない。彼女はとても細身だがスクリーンではぽっちゃりして見える。一方、ヴォルピ杯(ヴェネチア国際映画祭男優賞)の受賞者ダニエル・バルスは、自分の成功や金や魅力と、政界進出の可能性を秤に掛け、しばしば「俺は気が弱すぎる」という結論に達する。彼の妻シャーロット・サンクレールは芸者のように夫の世話をし、ダニエルの親友であるバレリアを嫌う。脳卒中、「イブの総て」の上演、宣言書の署名によって見えてくるのは、場を失う恐怖についての物語だ。

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Marta Sanz著『Farándula』の表紙
文学

芸能界

Farándula

マルタ‧サンス

Marta Sanz
Editorial Anagrama

パウラ・キニョネスは、スペイン内戦中の集団埋葬場所を探すためアサフラン村を訪れる。その不自由な片足を村に踏み入れるや否や、空が彼女の上に覆いかぶさって閉じ込められたような感覚に襲われる。まるで見えないゴムに体を引っ張られ、目的地であるベアト・ホテルから遠ざけられているような感じがしたのだ。そのホテルは「アスフロン」と読める看板の隣にあった。その夏、パウラは『Black, black, black(ブラック、ブラック、ブラック)』(著者が2014年に発表した小説)の主要登場人物のひとり、私立探偵サルコの義母ルスと手紙のやり取りをすることになる。ルスは美しい庭でのダビッド・ベアトとの恋愛を語る。また、密告者の存在についての怖れや、ホテル・ベアトに伝わる一族の伝説についても打ち明ける。一方で、ダビッドの母アナリアは、100歳の誕生日を迎えたばかりの優しい家長ヘスス・ベアトを愛情こめて介護し、ヘススが耳元でささやくメッセージに耳を傾ける。そして大勢の飢えた幽霊のような迷子たちと死んだ女たちの話に。

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Marta Sanz著『Pequeñas mujeres rojas』の表紙
文学

小さな赤い女たち

Pequeñas mujeres rojas

マルタ‧サンス

Marta Sanz
Editorial Anagrama