本書はシェアリングエコノミーについての研究書である。シェアリングエコノミーとは2010年代中ごろから見られるようになった個人間でシェアするサービス環境のことである。こうした動きを初期の段階から後押ししたのは、ベンチャーキャピタルの多額投資によって推し進められた民泊サービスAirbnb(エアビーアンドビー)のような大規模プラットフォームの成功だった。普及するなかで、もともと共同体を基盤に構想されていたシェアリングというパラダイムに、利益追求型ではない協働型サービスという概念が組み込まれ、今では「シェアリングエコノミー」という名で、曖昧だが多面的なカテゴリーとして定着してきている。