大きな街の近くに、今にも崩れそうな大邸宅、黒バラ館が建っていた。どうやらだれも住んでいないようだ。ぶきみな木の茂った森、黒い彫像、秘密の地下室、古い時代の追憶が、館全体を密室めいた雰囲気で包み込んでいる。ある夜、15歳のセルヒオとクララは偶然、この闇の王国へと入りこむ。謎めいた豪邸の内部に、ふたりの運命がひそんでいるのは疑いようがなかった。