Ginés Sánchez
ヒネス‧サンチェス
ヒネス‧サンチェスは1967年ムルシア生まれ。子どものころは、眼鏡をかけたやせこけた少年で怠け者だった。後に法律を学び弁護士になったが、退屈で辞めてしまい、世界を見に出た。働きながらあちこちを回り、旅をしながら、その時に備えて書く練習をしていた。そしてその時が来た。ヒネスは大人向けの本を何冊も書いている。『El mar detrás
(後ろに海)』は彼の初めてのYA文学。現在は、執筆のかたわら、ルネッサンス‧クラブでライティング講座を開いている。そして、時間が許せば、ウミガメたちの夢を見る。
アドリアンはとても変わった青年。それは彼の行動に自閉症の特徴が見られるからだけでなく、7番目の子どもだからだ。山の伝承によると、7番目の子どもはオオカミ人間に変身するという。さらに、時々夜になると奇妙な発作に襲われるせいで、アドリアンは誰からも理解されない。そこで、村を出、今は兄セノン、兄の恋人、仲間と呼んでいる自分の犬とともにワゴン車で暮らし、スペインじゅうを放浪している。違法すれすれの商売でどうにか生計を立てながら、アドリアンは大人の世界で自分の場所を見つけようともがき、愛とセックスをおぼえていく。そして彼は一匹の黒い犬との関係によって、暴力的でめちゃくちゃな父親のためにつらかった子ども時代の自分を払拭し、再起をはかろうとする。若者が生きのびていくさまがなまなましく描かれ、読むものをひきこむ物語。若者の語りで、忘れがたい鮮やかなイメージが立ち上がる。
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文学
オオカミ人間
Lobisón
ヒネス‧サンチェス
Ginés Sánchez
Tusquets Editores
ムルシア、サン・フアンの夜。3人の登場人物が経験する忘れがたい物語。メキシコ人のハシントはドン・ホルヘのボディーガード。ボスがパーティに興じている間に、身内を殺した殺し屋たちと決着を付けなければならない。マリアはその夜新しい経験をして家族のゴタゴタを忘れたいと街に出かけて来たティーンエージャーの女の子。ハシントとマリアが出会う。マリアは、近所に住む孤独で謎めいた男ヒネスが、彼女がその夜いた場所をくまなく歩き回り、ドン・ホルヘのパーティに参加し、ハシントと知り合いだということを不審に思わない。独特の雰囲気や集団の中をさまよう3人の登場人物の秘密の生活をめぐる、ダイレクトで、心をつかむ物語。こういった人びとの様子や雰囲気をこれほど生き生きと描いた文学は最近あまりない。様々な人生が合流し噴出し、危険とバイオレンスにみちた夜、思いがけないラブストーリーが生まれる。
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文学
山猫
Los gatos pardos
ヒネス‧サンチェス
Ginés Sánchez
Tusquets Editores
運よく海を渡れたとしても、海は後ろに過ぎ去り、前には多くの店や汚れ、単調さや悲しみが横たわる。日々が同じように過ぎていき……ある日、それが一変する。そのとき君は店や行列や柵のはるか向こうに目をやるだろう。山々に。未来に。それを探しに行きたければ、探す理由を見つければいいだけだ。
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