Kalandraka Editora
カランドラカ
出版社
1998年設立のカランドラカは芸術的にも文学的にも最高品質の作品を提供することを目的としている。オリジナル絵本、昔話の再話、児童‧YA文学の名作の復刊を中心とした、バラエティに富む既刊本の多くが入手可能。
ヨーロッパ最大のスラム街カニャダ・レアル。社会からはじき出されたこの地区の中心を舞台に、子どもの素朴で優しく創造的な視線を通して、何千人もの人々の厳しい現実を文学に変えたのが本書だ。社会から排除された人々に焦点を当て、そこで暮らす子供たちの声を伝えて、何年も前から停滞している建物の一部撤去か集団移住かという問題を可視化した、大胆で危険な必読の書。この危険極まりない状況下で子供たちが過ごす日々をサーカスの曲芸に例え、その遊びの要素を、最も弱い立場の人々の生存と法の埒外の活動という大人たちの暮らしにまで広げるという比喩表現が際立っている。
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絵本
エル‧ガジネロ
El Gallinero
マリア‧ホセ‧フロリアーノ
María José Floriano
Kalandraka Editora
ずっと前から真っ暗な闇がジャングルを覆っている。そこに住むものたちは月や星を、とくに太陽を待ち焦がれた。しかし動物たちは、その温かい命の源を見つけるどころか荒廃を発見し、どう呼べばよいかわからないほどの大きな火災を前にパニックに陥る。気候変動や人間の行いが起こした大規模火災による、地球の緑地帯の破壊だ。著者ファビオラ・アンチョレナはアマゾン熱帯雨林の終焉を描いたが、これは世界中のどの森に起きてもおかしくない。陸に生きるもの、水中で暮らすもの、そして空を飛ぶもの、すべての動物たちが「夜明けを待つ」という共通の行動原理のもと団結する。厳しい物語と対照的に、文章は詩的で、イラストが強く語りかけてくる。見開きページに描かれたイラストは映画的効果をもたらしている。
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絵本
夜明けを待って
Esperando el amanecer
ファビオラ‧アンチョレナ
Fabiola Anchorena
Kalandraka Editora
アフリカに伝わる寓話。主人公である、世界で最も長生きで賢く、辛抱強い生き物が、いかにしてあらゆる動物を救ったかを描く。敏捷で抜け目ないウサギも、大きく威圧的なゾウも、サイも、チンパンジーも……、だれも伝えられなかった生き延びる方法を、ボアは知っていた。西洋の文化で危険や残酷さ、死を連想させる生き物だ。アフリカの伝承をもとにしたこの物語は、偏見を打ち崩すだけではなく、生物種間の均衡と調和を壊しながら、地球に住むほかの生き物たちに対して我々人類がはるか昔から握ってきた覇権に焦点を当てている。対話体をベースにした軽快なリズムの文体、プロットの巧みさ、行動の反復が、元になった口承伝説を想起させる物語。
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児童書・YA
カメの歩みで(のろのろと)
A paso de tortuga
ボニファス‧オフォゴ
Boniface Ofogo
Kalandraka Editora
世界的に著名な作家たちが登場する7つの短編集。共通のテーマとして戦争がもたらす破壊と死、そしてそれらに打ち克つ、逆境を前にした希望の視線、不幸を乗り越える強さ、団結の絆を描く。それぞれの短編に登場するのは、まず避難民の少女が感動的に語るリッチマル・クロンプトン、エレナ・フォルトゥン、詩人のミゲル・フェルナンデス、フェデリコ・ガルシア=ロルカ、ラファエル・アルベルティ、ガブリエル・セラヤ、文芸クラブとフェミニズムに関連してグロリア・フエルテス。そしてゴンサロ・モウレが一人称でフランコ独裁時代の経験を詳細に語り、飛行家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの晩年も描かれる。インタビューから証言、年代記風の作品まで、語り口の多彩さと文学的価値が特徴の短編集だ。
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児童書・YA
戦争のさなかに書かれたもの
Escritos en la guerra
ダニエル‧エルナンデス=チャンベルス
Daniel Hernández Chambers
Kalandraka Editora
見て楽しむ本。見開きページに描かれた絵だけで、緑豊かな場所を楽しく散歩する少年の様子を語る。人生に喩えた物語で、長い道を行き、深い茂みを横切り、奇妙な場所を上り下りして主人公がたどる行程には、見えている通りのものは何もない。好奇心と幻想に満ちた冒険へと誘う1冊。シンプルだが独創性に富む、驚くような輝かしい物語で、何よりも溢れるような豊かな色彩と紙面に感じる筆遣い、細部にこだわりながらも量感のある絵に引き込まれる。予想もつかない結末を迎える視点の遊び。子どもは本来とは異なる空間に入り込むが、記憶にはあらゆることがぎっしり蓄えられている。主題:人生のメタファー
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児童書・YA
ジャングル
Selva
Kalandraka Editora
深い愛情に満ちた父娘を描くこの美しい物語は、たとえ目が見えなくても見えるものがあることを教えてくれる。暗闇に生きようとも視野が欠けていようとも充実した人生を送ることは可能だ。例えばこの本に登場する父娘は歩いて通う学校までの道のりを冒険の旅と捉えて楽しむ。町は勇猛な動物と魅惑的な音でいっぱいのジャングルに変貌するのだ。もっと住みやすく美しい世界を得るために互いを必要とする少女と父親、そのふたりの間にある優しさと互いを称え合う気持ちが伝わる作品。対話と内省的な語りを織り交ぜて物語が進行し、都会の風景のなかにマリア・ヒロンは愛嬌一杯で優しい野生の動物たちを住まわせる。主人公の想像の世界で一緒に通学する、愛すべき仲間たちだ。
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