深い愛情に満ちた父娘を描くこの美しい物語は、たとえ目が見えなくても見えるものがあることを教えてくれる。暗闇に生きようとも視野が欠けていようとも充実した人生を送ることは可能だ。例えばこの本に登場する父娘は歩いて通う学校までの道のりを冒険の旅と捉えて楽しむ。町は勇猛な動物と魅惑的な音でいっぱいのジャングルに変貌するのだ。もっと住みやすく美しい世界を得るために互いを必要とする少女と父親、そのふたりの間にある優しさと互いを称え合う気持ちが伝わる作品。対話と内省的な語りを織り交ぜて物語が進行し、都会の風景のなかにマリア・ヒロンは愛嬌一杯で優しい野生の動物たちを住まわせる。主人公の想像の世界で一緒に通学する、愛すべき仲間たちだ。