エル・ビキンゴは年老いた元プロレスラー。自分がまだ、どんな職務もやりとげられるタフな男だということを勤め先の警察の上司たちに見せたくて、同僚とともに何人かの容疑者の若者を留置所に連行する任務をかってでる。その翌日、マリア・エレナというひとりの家政婦が、かつての主人の孫の元で働くことになり、新婚家庭をたずねるが、家には誰もいない。事情をたずねてまわったり、日増しに不安を募らせる家族からの電話を受けたりするうちに、マリア・エレナはこの失踪の裏に、何か非常に重大な事実が隠れていると直感する。そこで、警察にいる古い知り合い、エル・ビキンゴに頼る。彼はかつて彼女の主人の護衛をしており、彼女に言い寄ったことがあった。マリア・エレナは何も知らずに孫夫婦をさがすうち、野蛮な逮捕現場に出くわし、反政府グループの言い争いを目撃し、フードで顔を隠した反政府グループの中に、見知った人物の顔をちらりとみとめる。自分の娘と孫息子の居所も考えるうち、マリア・エレナの不安は苦悩に変わっていく。