ひとりの男、3つの物語。 ハリーはスウェルを好きになった。 昔はマリアが好きだった。 その後、サブリナを好きになった。ハリーは1日のうちに妻、仕事、家を失った男。 ハリーは自家用車で寝泊まりするようになる。 ハリーは精神病院に入院した。 ハリーはどん底まで落ちたが、助かった。 自我を切り取られ、真実が一番大切だという信条を守っていた。 もう決して、口先だけで愛の言葉を言うことはないだろう。 決して心を偽って親切にしたりはしないし、決して言い訳や偽善で装うことはしない。奈落に落ちて入院した後では、自分と同じくらいぎりぎりのところにいる女性しか好きになれないだろう。3つの愛の物語の中で、愛が新たな次元に発展する。すなわち深淵そのもの。 ハリーだけが耐えられたであろう3つのラブストーリー。≪――― 私、あなたがいない方がずっといいことに気づいたの。そのフレーズは忘れられない。額に撃ち込まれている≫