「これは牝牛のビクトリアの物語だ。ビクトリアは死んで、はい、それまで」昔話はこんなふうに語っている。モンテロッソ(訳注:短いお話で知られているグアテマラの作家)の恐竜の物語とさして変わらない長さだ。これではあまりにも短いと、ノノ・グラネロはお話の中から要素をひきだし、不幸な牝牛の別の人生を描いた、このめくるめく悪党バージョンをつくりあげた。はじけるユーモアと韻とナンセンスで、おしまいまでたどりついたかと思うと、ぐるっとまわって、それがべつの始まりとなる。