知られていないが魅力的なひとりの女性、スペイン人歌手カロリナ・コディナの人生を綴った本。カロリナは、ロシアの天才作曲家セルゲイ・プロコフィエフの妻でありミューズだった。結婚当初、ふたりはアバンギャルドのパリで過ごし、厳選されたインテリや芸術家だけが集うサークルに属していた。しかしプロコフィエフがソビエト連邦への帰国を決めたことで全てが変わる。最高の栄誉で迎えられたふたりだったが、時がたつにつれスターリン体制に苦しめられるようになり、夫婦関係も悪化する。大戦後、カロリナは不当に訴えられるが誰も救うことができない。強制労働収容所送りになり、スターリンが死ぬまでそこで過ごすことになる。天国から地獄へと転落したカロリナの人生は、愛と悲劇と忍耐力に彩られている。