スペインの初期の女性パイロットたちの生きざまに着想を得て、マル・カンテロがすぐれた文体と人の気持ちに寄り添う繊細さで女性たちの勇気を描いた感動的な作品。今よりも女性の社会進出が困難だった20世紀を舞台とする、冒険、愛、未来への希望に包まれた物語だ。3人の女性、3つの物語、3つのとき、そして彼女たちに共通するたったひとつの夢、空を飛ぶこと。RAFのパイロットになるためにロンドンに向かうライア(1939年)、マドリードの軍事基地で飛行機に囲まれて育ち、空を飛んで世界を発見したいと願うアビガイル(1965年)、ある美術品収集家のプライベートジェットの操縦士になるためバルセロナに戻るシャルロッテ(2018年)。それぞれの時代に夢を実現しようと奮闘する女性たちの物語は、最後にひとつに収束していく。