利発だが貧しい少年ビクトルは、靴磨きの道具箱を持ってパリの街を歩き回る。1934年、そのイルミネーション輝く街は、彼には手の届かない快適で豪華な世界を見せつける。ウージェニーおばさんの虐待で、家から逃げ出さざるを得なかったビクトルは、ふたりのロシア人画家に保護された。少年は、彼らといっしょに夜の自由奔放なパリを経験する。そこでは、モンパルナスの女王や、シュールレアリストたち、盲目の彫刻家など風変わりな人たちが行きかっていた。しかし、裕福な少年アントワーヌと出会うと、すべてが一変した。思いもかけず友情が深まったことで、ふたりは悲劇的な結末へと導かれる。第二次世界大戦後の荒廃した時代、ビクトルはふたりの友情を取り戻そうとする。