町の中央にある古く美しいマルモ墓地は、バーチャルな生者が集う場所だ。そのうちのひとりニルスは、自分がそういう存在なのがうれしくてたまらない。女の子をナンパするという、一番好きなことに打ち込めるからだ。リサイクルされた死者にはいろいろと利点があって、都合が悪いときは幽霊モードになれば、人に気づかれずにすむというのがそのひとつ。ところが、特別な女の子シリは彼らを見つけてしまった。ニルスはそれがおもしろくない。バーチャルな生者は、だれにも自分の存在を知られてはならないからだ。彼らは伝説のままでいなければならないのだ。