年若きパウラ・センはとてつもない野心を持った競泳の選手で、4着でフィニッシュしてもトレーナーは喜ばないことを知っている。彼女は空中を滑らかに泳ぎ、ビルの壁を突き破り天空を漕ぎ進む夢を繰り返し見る。競泳の偉大な女性チャンピオンたちの姿に自分を投影するが、パウラの野望は彼女たちのレベルに達することではなく、追い越すこと。この野望がどこから生まれるのか分からないが、その可能性を試してみたいのだ。世界記録の樹立や4種目制覇のみならず、自分の名前センを冠した新しい泳法の考案をも目標にしている。表彰台の1番高いところへ上るために金メダルを熱望し、プールの中で築き上げられた最も偉大な伝説として歴史に刻まれるまで降りるつもりはない。しかしながら、誇大妄想とノイローゼの狭間にある厳しい競技人生は大きな犠牲を伴い、レースの最中に代償を払うことになる。