『シェアアパート(シェアハウス)』は、内側の小説。魔法と記憶と日常性が組み合わさった、風俗小説的中編。多くの思い出や経験を持つ5人の婦人の人生と、ひとりの若い娘の人生が交差する。主人公の娘は、婦人たちがシェアしているアパートになぜ、どのようにして自分が現れたのかわからない。彼女は、婦人たちの儀式に参加し、本や言葉を分類し、毎週金曜日には即席の美容サロンになる居間で、彼女たちの紫色がかったふんわりした髪の手入れをし、食事ごとに食後の長いおしゃべりにつきあい、ことに住人たちがくりだす物語に耳を傾ける。インスタグラムと労働、外国の訪問、昨日の歌が、女性同士のコミュニケーションと共生を描いたこの小さな小説のなかでまじりあう。