目立たない外見のドミニク氏は実は園芸の名人で、しかも本物の魔法使いだ。いつの間にかパリの片隅を花壇に変えてしまった。彼の花屋レトワール・マンカントは、メルセデスとティルデのお気に入りの場所だ。スペインから移住し、フランスで40年以上働くふたりの女性はどちらも自分は孤独だと思っている。メルセデスは国境を超えたところで夫に置き去りにされ、ティルデは自分を愛してくれる相手と巡り合うことがなかったからだ。そんな平穏でメランコリックな毎日を送るふたりの前に、ビオレタというハリケーンが現れる。若い娘ビオレタは、ストーカーから逃れるためにマドリードからやって来たのだった。