かつて義理の兄妹だったルベンとアマリアは、巨大マンションのエントランスでばったり会い、ずっと前から自分たちが同じ建物に住んでいたこと、どちらも自分が人生の主役と感じたことがないことを発見する。自分が傷つき、人を傷つけるのをおそれて、どちらも人が願うままに生きてきた。拒絶されるのを絶えず恐れながら、家族の枠に自分を当てはめようとしてきたルベンと、子どものころから姉妹とはりあってきた、利己主義で嘘つきのアマリア。まずは別れ、その後一緒になり、ふたりは自分たちの記憶をきちんと並べて、それまでの自分たちの人生に意味を与えようとする。本書『脇役』は、『Diario del asco(吐き気の日記)』では目立たず、ルベンの兄弟であり、アマリアの元夫であるマテオの言葉からしかわからなかったふたりの登場人物に声を与える。