人々が集まって物語を語り聞くという、「ニシントリー」と呼ばれるアフリカの純粋な口承の伝統が、フミラヨ・ジョンソンの物語のなかにはきらきらと魔法に満ちて花開いている。スペインとギニアの血をひく、才能あふれる若き女性作家ジョンソンは本書で、生命と限りない美にあふれる世界を伝え、ラマンチャ出身のイラストレーター、ペドロ・セルバンテスのずばぬけたクオリティの個性的な絵がさらなる魅力を添えている。ジョンソンはあたかも生き証人のように、一族と文化の記憶に根差す物語という遺産を私たちに手渡して、はかり知れない価値を持つ世襲財産を保存すると同時に、今の世代の読者に感動を与える。