ヨーロッパの中心にいる十代の若者や大学生は、実在の虚無を満たすために、きわめて現代的な思考と古い原理的な信念を併せ持っている。それは文化の土台をゆるがし、私たちを地獄の奥底へと落下させる。21世紀のネット社会を生きる理想主義の若者たちは、中世風の正義の味方を名乗る者のなかに白馬の王子がいることを期待している。だが、おとぎ話が語られる前に正義の味方は死んでいきかねない。メソポタミアの古い信仰の性の奴隷は、非人道的な屈辱を甘んじていた。30年にわたって中東を取材してきた著者は、聖書がこの世の楽園とした土地に住む人々にとって恐怖の悪夢と化した政治と戦略地政学のパズルを、金銀細工師のように組み立てていく。恐怖の千夜一夜物語最新バージョンだ。