3つの物語が交錯する作品。ひとつめは、数回ノーベル平和賞候補になった活動家で平和主義者、婦人参政権運動家のシュヴィンメル・ロージカに、フェミニストのエディス・ウィナーが捧げた未完の本の運命と、20世紀前半における、この非凡なふたりの女性の関係。ふたつめは、トランプ政権の終盤の荒れ模様の政治社会状況を背景にした、現代のニューヨークに移住したバスク人一家の暮らしぶり。3つめは、1970年代、80年代に、革命的な女性たちの傍らで語り手が育った小さな海辺の村における、ふたりの少女の友情の回想。やさしく詩的で、読者をひきこむ。美しく、きわめて人間的に綴られ、多くの秘密を秘めた、キルメン・ウリベの意欲作。