Kirmen Uribe
キルメン‧ウリベ
1970年ビスカイア県オンダロア生まれ。2009年、初めての小説『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』(白水社)でスペイン国民文学賞を受賞し、世界的な話題を呼ぶ。それ以前に詩集『Mientras tanto cógeme la mano(し"らくのあいだ私の手を握っていて)』(Visor、2005) を刊行。続いて小説。『Lo que mueve el mundo(ムシェ 小さな英雄の物語)』
(Seix Barral、当サイト2013年紹介作品。2015年白水社より既刊)、『La hora de despertarnos juntos(共に目覚めるとき)』 (Seix Barral、2016、国民批評賞バスク語部門受賞作)を刊行。2018年、4作目の小説となる本書を書くために、ニューヨーク公立図書館の権威あるカルマン奨学金を得た。近年彼の文章は「ニューヨーカー」や「パリス‧レヴュー」などの著名な雑誌に掲載され、現在はバスク語の新聞「ベリア」のために、毎週ポッドキャストをバスク語で書いている
1937年5月、ゲルニカの爆撃後、何千というバスク人の子どもたちが戦争の残虐さを逃れ、亡命地に向かってサントゥルセの港から出発した。その中のひとり、8歳の少女カルメンは、ベルギーに住む、ロルカの翻訳家でもある作家の家に身を寄せることになった。カルメンは祖国から引き離され、その作家の家族のもとで育つ。第二次世界大戦が終結した日、養父が亡くなり、フランコ体制下のスペインに戻ったカルメンは、生まれた家で新たな生活を始める。キルメン・ウリベが豊かな感性と優しさ、語りの才で綴る、親と子の、そして親と夫婦の物語であり、友情の、そして何よりも亡命の物語。
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文学
世界を動かすもの
Lo que mueve el mundo
キルメン‧ウリベ
Kirmen Uribe
Editorial Seix Barral
3つの物語が交錯する作品。ひとつめは、数回ノーベル平和賞候補になった活動家で平和主義者、婦人参政権運動家のシュヴィンメル・ロージカに、フェミニストのエディス・ウィナーが捧げた未完の本の運命と、20世紀前半における、この非凡なふたりの女性の関係。ふたつめは、トランプ政権の終盤の荒れ模様の政治社会状況を背景にした、現代のニューヨークに移住したバスク人一家の暮らしぶり。3つめは、1970年代、80年代に、革命的な女性たちの傍らで語り手が育った小さな海辺の村における、ふたりの少女の友情の回想。やさしく詩的で、読者をひきこむ。美しく、きわめて人間的に綴られ、多くの秘密を秘めた、キルメン・ウリベの意欲作。
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