苦悩するひとりの忍者。隠された陰謀。危険な使命。不滅の作品。1689年、高名な俳人、松尾芭蕉が仙台藩に向けて旅立ち、彼の最も有名な作品となる「おくのほそ道」が生まれる。だが芭蕉は、実際には清算すべき過去を抱えたもの憂げな忍者だったこと、そしてその旅には、日本の最大の政治的陰謀のひとつが渦巻いていたことをだれも知らない。復讐を目指す一派と徳川幕府のよこしまな幕僚たちが暗躍し、大きな犠牲を払い、血を流してやっと手に入れた平穏が揺らぐことになる。将軍家の重鎮は、日本を支配しようとしている。それらの陰謀は全て、同じ目的地をめざしている。唯一それを知っている人物は、俳人に姿を変えた忍者。彼の希代な旅だけが、平和を取り戻す頼みの綱だ。