15歳の少年オメロはバルセロナの裕福な家庭のひとり息子だったが内戦でひとりぼっちになり、人生が一変してしまう。それは生存をかけた戦い、そして孤独と自分探しの戦いだった。父親の形跡を追うために力の限りを尽くすが、脳裏には野性的なクロエの姿が常にあった。農民の彼女はオメロの命の恩人で、生涯忘れられない存在になる。自分探しの旅の途中で、ロバート・キャパやヘミングウェイ、ヒトラー、あるいはマチャードといった著名人ともすれ違いながら、少年はスペインの歴史の中を歩んでいく。貨物船ウルグアイの沈没、国民戦線派のバルセロナ入城、フランコとヒトラーの間で行われたアンダイエ会談などの歴史的な出来事を少年の目を通して語る小説。知識としての歴史ではなく体験としての歴史を語る壮大で感動的な旅。