アディラネは、祖母ルットの内戦時の幼い頃の記憶を記録するというたよりない理由を言い訳にして、バスク北部の海辺の村にある実家に戻る。一言の説明もなしに、夫と5歳になる娘を残し、自分自身の過去から新たな出発点を見つけるつもりだった。故郷では、祖母と共に、何年も前から言葉を交わしていない母アドリアナが暮らしている。3つの違った歴史的、政治的背景のもと、常にはりつめた土地で人を育て世話していくのは何を意味するのか。世代の異なる母と娘が、潮の満ち干のリズムと力にのせて、それまで遠ざけてきた家族の秘密や緊張に揺れる一族の物語を紡ぎあげる。