サバテル・ピの物語はまるで小説のようだ。しかし事実である。17歳でアフリカに渡り、30年後にバルセロナに戻ってきた彼は、学位すら有していなかったが、世界で最も有名な霊長類学者のひとりとなった。サバテルは、学問の世界を超え、学界に普及していた人類の概念を書き替えてしまうほどの貢献をした。彼の経歴は、好奇心と粘り強さ、そして自然に対する敬意に満ちている。また、自らをフンボルトやダーウィンの後継者であると公言していたが、彼らと同じような科学的探求へのロマンに満ちていた。サバテルのアフリカ時代の手紙をもとに、彼の人生が初めて物語として描かれた本書では、スペインで最も偉大とされる科学者のひとりであるサバテルの活気に満ちた知的冒険が、躍動感あふれる文章で正確かつ興味深く描かれている。