家から逃げてきたひとりの子供が、隠れ家の奥に潜んでいる。彼を探す男たちの叫び声が聞こえる。男たちが通り過ぎてしまうと、彼の前には干からびた大地が果てしなく広がっている。逃げてきた場所に戻りたくなければ、そこを超えて行くしかない。ある夜、ひとりのヤギ飼いと出会い、その時から、ふたりにとって全てが一変してしまう。Intemperie(悪天候)は、干ばつにみまわれ暴力に支配される国を通り抜けて逃げる、ひとりの少年の逃避行を語る。閉ざされた世界、名前もなく日付もない。その世界では、水が排水溝から流れ出て行ったみたいに、モラルも一緒に流失してしまっていた。そんな環境の中、まだ挫折せず一縷の望みを失わない少年は、苦しくてもまっとうな道を1からスタートするチャンスを得ることになる。あるいは対照的に、嫌というほど身に染みている暴力に走るのか。