2015年が始まった。バレンシア政界がここ数十年経験したことのない大きな変化を遂げるまであと少しに迫っていた。しかし、流れに逆らって生きる人たちは依然としてその姿勢を保っていた。変えたくもなかったし、変えられなかったのだ。勤めていた新聞社を辞めてフリーのジャーナリストになったマルク・センドラは町の中心地で起きた歴史的な強奪事件に関する小説執筆の準備をしていた。そのためリャルゴ、メッシエ、ラフェル神父、伝説の人レジーノといった昔からの知人たちや引退した刑事トニ・ブチャナ、トーレス兄弟、トルデラ元警察署長などに協力を乞う。だが、まったく予期しなかった誘拐と殺人事件に出くわした。奇しくもセンドラが小説に刺激を添えるために考えていた筋書きが切迫した現実となってしまう。