伝説的で高い評価を受ける世界有数のレストラン「オルチェル」の美食にまつわる記録。ひとつの民族の歴史は、彼らの料理の歴史でもある。ベルリンで誕生し、後にマドリードに移転、伝統と前衛のバランスを保ちつつ、120年近く厨房の火を絶やさずに来たこのレストランの沿革はそのことを如実に物語っている。20世紀および21世紀におけるヨーロッパ美食界の聖域と呼べるオルチェルのようなレストランはそれほど多くは存在しない。本書の各ページ、レシピ、写真は、オルチェル一族4代の系譜(一時期、かの伝説的レストラン、フランス・マキシムの支配人を輩出)と、戦争、危機、パンデミックなどさまざまな波乱の渦を乗り越えてきたレストランの姿を読者に映して見せる。それは美食の鮮やかな歴史でもあるのだ!