鳥を売る男はこのロベール・ブラジヤックの小説の重要人物のひとり。30年代の典型的なパリジャンが登場する小さな世界のすべてが彼を中心に巡る。登場するのは3人のソルボンヌの大学生で、その中には若く美しいイザベルがいる。そして小売商マリー・レペティトコルプス。過去の出来事のせいで孤独な人生を送っていたが、道に迷ったふたりの少年、セルジュとミッシェルが現れ、もうひとりの重要人物、カブリティーリョのせいで人生が変わり、満たされるようになる。『El vendedor de pájaros(鳥を売る男)』はロベール・ブラジヤックの3冊目の小説。少年は帽子を脱いで足を均一に揺り動かしていた。鳥かごは老人との間に置かれていた。少年は中を見ようと眼差しを時々落としながら、老人の言い分に少し反論するようなはっきりした声で、的確な質問をしていた。
(※本書はフランス語からの翻訳作品で、『パリの小鳥売り』のタイトルで2011年3月に高井道夫氏の翻訳で春風社より出版されている)