アンナはアイスランドの小さな漁村フーサヴィークの図書館員。ある日、結びに「あなたを愛する父より」と記された手紙を受け取った時、それまで固く閉ざされ決して開かないと思っていた心の扉が開く。それは過去と向き合い、自分の本当の素性を明らかにすることを意味していた。両親はなぜアンナを捨てたのか? 彼女は本当は誰なのか? 昔のピアノ教師は何を助けてくれるのか? 明らかにするには、かつて両親が住んでいた廃屋に入るしかない。たとえ言い知れぬ恐怖があろうとも。丁度その頃フーサヴィークにギスリという若者がやってきた。レイキャビックの生物学者である彼は心の古傷を癒やそうと国内を巡る旅をしていたのだ。二人は必然的に出会い、過去の亡霊を蘇らせるという共通の目的に、手をとりあってのりだしていく。