13歳のナンネル・モーツァルトは、天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのお姉さんだ。ヴォルフリ(モーツァルト)はその年ごろのどの子もそうであるように、遊びといたずらが大好きで、大人の世界はよくわからない。パーティは好きだけど、宮廷やお屋敷に招待されるのは好きじゃない。そういうところでは、まるで珍しい生き物のように見られるから。姉さんは弟のことをいちばんよく知っていて、弟が責任と義務感で爆発しそうだと感じると、弟のために素晴らしい世界、リュッケンの魔法の王国を作り出す。そこならふたりとも、自分の居場所を見つけられる。ソフィア・レイがマリア・アンナ(ナンネル)・モーツァルトの日記をもとに、『魔笛』の素晴らしいファンタジーをおりまぜ、モーツァルト姉弟の本物の人生へと読者を誘う。現実がフィクションをいつ超えるかを決めるのは読者だ。