17世紀のベネチア。思春期の少女アンヘリーナは両親の死後その身に危険が迫り、やむなく生まれ故郷を去ることになる。従順な召使ピエトロリーノと共にヨーロッパ、アフリカ、アジアの国々を渡り歩くにうちに女性としての自覚を持ち、性と愛に目覚めていく。また、それまで彼女に隠されていた謎の身分を解き明かす手掛かりを見出すことにもつながる。女性の町をつくったり、後に彼女の人生に大きく係わっていく不思議な人物たちとの出会いがあったりと様々な冒険が待ち受ける。エロティシズム漂う筆致で幻想と神話が混ざり合うユニークな歴史小説。著者自身が描いた魅力あふれる54点の挿絵が本書に色を添えている。史実の力に、芸術的な創造性とイタリアのコンメディア・デッラルテの特徴を融合させて、読者を感動させ楽しませる小説となっている。