愛と死は、兄弟であるかのように似通った響きを持ち、かけ離れているようだが共存している。本書は、バレンシア及びガジネラの谷で繰り広げられる愛と友情、死と失恋の物語である。多くの歴史を持ちながら人口の少ないこの谷は、さびれてすっかり荒廃している。中学教師のジュアンと、段々畑で耕作をする心理学者のサラはこの谷に住む。またカルロスという人物もそこにやってくる。彼は編集者で、養子の息子のドラッグや犯罪の問題からくる苦痛から逃れたいという事情を抱えている。谷の暮らしと同様、ほとんど消えかけているガジネラ川をたどって3人が共に歩く道に、過去と、逃れることができないすべてのことが流れこむ。