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Ignacio Abad

Ignacio Abad

イグナシオ‧アバド

イグナシオ‧アバド(1980年、レオン生まれ)は、メノスロボス出版から小説『En Düsseldorf no hay ni puede haber leones(デュッセルドルフにライオンはいないし、いられない)』を刊行し、レオン県議会文化センターから2019年レオン書籍賞を受賞。現在は東京在住。

この小説には読者を待ち受ける多くの驚きがあり、そこには著者イグナシオ・アバドによる金細工のように繊細な仕事や、少しずつ読者を巻き込んでいくプロット構築の正確さが隠されている。物語を組み立てる彼の能力と、主人公である名前のないジャーナリストのしっかりした人物造形に裏打ちされて、私たちの前に繰り広げられるのは、過去、現在、未来を行き来し、ついには一対の鏡のなかで、あるいは迷宮、交錯するストーリーの迷路のなかで枝分かれしていく裁断された物語だ。読み進むにつれ、何が真実で何が噓か、どこまでが現実でどこからが空想か、それらを隔てるぼやけた線のどちらが正しい側なのかを見分けるのはどんどん複雑な作業となり、厄介で刺激的な挑戦になる。

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Ignacio Abad著『En Düsseldorf no hay ni puede haber leones』の表紙
文学

デュッセルドルフにライオンはいないし、いられない

En Düsseldorf no hay ni puede haber leones

イグナシオ‧アバド

Ignacio Abad
Menoslobos Editorial

作者のナチョ(イグナシオの愛称)は現実というものに納得していない。言い換えれば、彼は現実に欺かれていないということだ。それゆえナチョは、長編ではなく短編集を出したのだ。新しい情報を伝えるという意味でnovela(ラテン語のnovelは「新しい」などの意味を持つ)と呼ばれる長編は、ゆったりと十分なスペースを持つジャンルである。一方、彼が我々の前に提示した短編集は一度読めば全体が記憶に残り、かつ新鮮だ。その中では以前のものでさえ新しいからだ。それぞれの作品において作家は、例えば後世のこととして記憶の比喩を用いてみたり、自分を独特だと感じるのは皆にあることで陳腐だという、注目すべき考えを取り入れたりしている。この日常のさまよいという糸でナチョは連結したシーンの仕掛け(罠でもある)を、そして心そのものの仄暗さの中、思考の周囲に見つけた難解な言葉を織り上げていく。作中で説明こそされていないものの、彼の静謐で澄み切った文章はおそらく本人も意図しないうちに、読者を理解に導いてくれるのだ。(ルベン・ラルディン)

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文学

ソノロ物語

Monogatari

イグナシオ‧アバド

Ignacio Abad
Menoslobos Editorial