Gonzalo Torné
ゴンサロ‧トルネ
1976年、バルセロナ生まれ。これまで3作の小説を上梓している。ハエン小説賞を受けた『Hilos de sangre(血の糸)』(Random House、2010)を、イグナシオ‧エチェバリアは「本当に並外れて見事、かつ印象深い、21世紀のスペイン語文学における画期的事件となる運命のもとに現れた小説。かなり個人的な意見だが、かつて出版されたことのない作品を生み出そうという野心と結びつき、フアン‧ベネット、ルイス‧ゴイティソロ、エドゥアルド‧メンドーサ、ハビエル‧マリアス、ベレン‧ゴペギ、ルイス‧マグリニャ、ロベルト‧ボラーニョのような、非常に個性的な作家たちと同様の活力を文学にもたらすと考えている」と評した。『Divorcio en el aire (空中の離婚)』(Random House、2013)については、アイリッシュタイムズ紙が次のように評価している。「どんな人間にも起こりうる危機をトルネが気品と普遍性をもって描いたこの小説は、真実味と説得力がある。非常に輝かしく、そしてしばしば、笑わせてくれる…」また、エルムンド紙のナダル‧スアBは、『Años felices (幸せな年月)』(Anagrama、2017)について次のように述べてい…
20世紀後半のある時、手に深い切り傷を負った若い男、アルフレド・モンサルバジェスがニューヨークのとある病院に現れる。作家志望のこの外国人男性は、対応した看護師のジーン・ローゼンブルームから見ると、おとぎ話の王子様だった。アルフレドはじきに友人グループの中心になる。友人の目から見ると彼は、人生がなかなか与えてくれないものすべてをそなえた、何もかも解決してくれる魔法のような存在、つまり腹心の友であり、同僚であり、恋人だった。友人は4人。若いユダヤ人で霊感が強く、その妬みや野望がなぜかまわりには喜劇的に見えてしまうケビン・プリチャード。好事家で教養があり、裕福な相続人であり、王子と長時間話すなかで自分の才能を推し量るハリー・オズボーン3世。ローゼンブルーム姉妹のなかで最もカリスマ性があり、美しく、自立心旺盛で自由な女性クレア。そして気高く、思いやりがあり、慎み深いジーン。
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文学
幸せな年月
Años felices
ゴンサロ‧トルネ
Gonzalo Torné
Editorial Anagrama
バルセロナの中心部にある広いマンションを相続したクララ・ムンサルバッジャは、ここを仕事や恋愛、健康問題などで不運な目に遭っている女友だちが駆け込めるスペースとして使おうと決めた。夏が来てスペースが無人になったとき、向かいのマンションに謎めいたカップルが越してきた。ほどなくして、向かいからは絶えず大声で言い争う不快な声が聞こえるようになる。暴力沙汰になるのではないかという怖さ半分、ゲーム感覚半分で、クララは元恋人を呼び出し、この状況を《解決する》手助けをしてほしいと頼む。その中でも、彼ら自身、互いが互いに対して何をすべきであるかについて決める。ある夜、笑い声が突然の殴打の音と悲鳴で中断されたあと、クララはついに向かいの家に足を踏み入れ、(良識に反しつつも、好奇心に背中を押されて)その部屋に住む女性の相談相手となる。そのうちに、その隣人の貧しい出生と豊かな将来への希望が混ざりあった、旋風のような経験に彼女は引き込まれてゆく。
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