Carlos J. Server
カルロス‧J‧セルベル
1975年、スペインのガンディアに生まれる。2014年、「アマゾン」と「エルムンド紙」が主催した第1回インディー作家文学コンクールで第1作UN DÍA CON SUERTE(幸運が舞い降りた日)が最終選考作品に選ばれ、その名が世に知られる。作品はネット上で瞬く間に一大現象と化し、スペインを始め米国、メキシコ、ドイツ、フランスとイタリアのアマゾンで最も購入されたスペイン語の電子書籍となった。翌年の2015年に2作目となる本書UN BAUTIZO SINGULAR(奇 な洗礼式)を出版。おかしな登場人物たちが絡まり合って織りなす恋愛コメディ仕立て。アクションとサスペンスが満載で奇 な人物が次々登場する楽しいセルベルの小説は、ベルランガ、ビリー‧ワイルダー、ウディ‧アレンの風刺スタイルを彷彿させる。
ジローナのとある小さな村の住民がヨーロッパの宝くじ史上最高の当選金額を獲得した。こぞって幸せに酔いしれたのも束の間、村民は当選くじを換金させようと幸運な当選者を探し出すレースを始める。我先にと奔走するのは一度話し出したら止まらない神父、肉屋とのセックスを空想する定年退職の女、30年間も村長を務め続ける男、パン屋の女房に恋する郵便配達員などなど。この個性溢れる登場人物たちが読者の笑いと涙を誘いつつ非常事態と化した日常生活の模様を楽しませてくれるだろう。アクションとサスペンス満載のコメディとなっている本作品で、セルベルはベルランガやウディ・アレンが確立した社会風刺的スタイルを見事に表現している。時間をかけてじっくりと読みたい1冊。
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文学
幸運が舞い降りた日
Un día con suerte
カルロス‧J‧セルベル
Carlos J. Server
Carlos Juan Server Lorente Ediciones
誰もが一度は家族の一大行事を行う機会があるはずだ。機会よりも苦行と言えるのだが。本作の主人公ルシアも一風変わった家族の伝統を守るために、息子アルヒミロの洗礼式をのどかなエル・イエロ島で行うしかなかった。エル・イエロ島はカナリア諸島の中で最も小さな島だ。ルシアにとって狂乱の週末が幕を開ける。風変わりな自分の家族や夫の家族との対峙だけではない。息子の父親は夫ではないのではという疑いを持つルシア。本当の父親を探すべきか、それとも単にルシアの思い違いなのか。そのためには疑惑の真相を確かめる必要があった。おかしな人達と極限状態におかれた日常を描くこの小説を読んだ後、読者は自分の家族も奇妙なのではと振り返らずにはいられないだろう。楽しめること間違いなしの作品をお見逃しなく。
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