Editorial La Huerta Grande
ウエルタ‧グランデ
出版社
自由な思考を促す文芸作品を出版している。自由な思考とは、絶え 自問を重ね、その疑問や意見、明晰なる狂気の共有を恐れない人々の思考法のことだ。当社はフィDションにもエッセイにも同じ比重をかけている。
マルセラとオスカルは、サンパウロの中心街で典型的な中流階級の暮らしをしている。アパートの寄せ木細工の床を修理したばかりで、隣近所の集まりに足しげく出かけ、夜はテレビを見て過ごす。彼らが暮らすビル内にネルソンがいわくありげに出現し、ふたりの当たり障りのない暮らしが乱されることになる。ネルソンは影のある男で、ふたりは若い頃、1980年代にサントスのサーフィンビーチでネルソンと知り合い、マルセラは彼と出奔したのだった。
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文学
アクレ
Acre
ルクレシア‧サッピ
Lucrecia Zappi
Editorial La Huerta Grande
El año de Los Saicos(ロス・サイコスの年)は、1964年のリマ社会の内部事情を辛辣なユーモアで語る。この年はリマ出身のロック・グループ、ロス・サイコスが登場した年で、当時、リマの社会は偽善的常識の尊重と個人の品格低下の間で身動きできなくなっていた。嘘が怪しげな生き残り戦略となり、登場人物のひとりが言うように「誰もが嘘をつく」社会だった。 この小説は「良家」のいとこふたりによる女中への誘惑をめぐる出来事を描く。連通管のようにつながり、リアルタイムで執筆している物語を読んでいるような錯覚を読者に起こす。パトリック・ロサスは、そこかしこに存在する美への信奉がもしかしたら息苦しさをより強めていたかもしれないリマの上流階級の、卑俗で偽善的で人種差別的な社会を完膚なきまでに描いている。
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文学
ロス‧サ.コスの年
El año de los saicos
パトリック‧ロサス
Patrick Rosas
Editorial La Huerta Grande
先住民のとある集落。シェップがナイフで親指の先を切ってしまい仕事は中断する。その出来事が偶発的な事故であることを疑問視する者は誰もいない。男も女も自分の役割を甘受し、それに疑問を抱く者はいない。若者シェップも同じだ。誰も何も自らに問うことをしない。先住民居留地では暮らしが変わることなく続き、彼らがとらわれている空間では、偶然と運命の間、あきらめとより良い生活の可能性の間を時間が流れていく。そんなとき、最初の白人が現れる。どこか寓話じみたこの類まれな物語は、私たちにものごとを従順に受け入れるための能力、あるいは、私たちの問いかけ次第で運命が変わることもあると認めるための能力について語る。
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