バスク武装組織ETAが武装放棄を発表したとき、ビトリは、テロリストに殺された夫の墓前で、彼らが住んでいた家に戻る決心をしたと報告する。彼女自身と家族の人生をめちゃくちゃにしたテロ事件の前も後も、彼女に嫌がらせをした人々と同じ場所で暮らすことができるだろうか? ビトリの存在は、村の、特に隣人ミレンの見せかけの平穏を乱すことになる。ミレンはかつて親友だったが、ミレンの息子のホセ・マリは投獄中のテロリストで、ビトリにとって最悪のテロ事件の容疑者だった。かつてはあんなに仲のよかったふたりの女性の人生、子どもたちの人生、夫たちの人生に毒を振りかけたのは何だったのか? 見ないふりをしてごまかしているふたりの心の傷と揺るぎない信念、痛みと勇気をつづる。テロ事件を挟んだ彼らの物語は、政治的ファナティズムによって破壊されたコミュニティで忘却は不可能だが、許しが必要だと読者に語りかける。