若い共和党員の医師ギリェルモ・ガルシアは、フランコ勝利後も親友からもらった偽の⾝分のおかげでマドリードに住み続けている。外交官だった親友は1937年にガルシアに命を助けられた後亡命したが、危険な秘密の任務を帯びて1946年に帰国する。その任務とは第三帝国、即ちナチスが犯罪者を隠匿するために作った地下組織に潜⼊すること。マドリードでその組織を率いていたのはクララ・ストーファーだった。ガルシアが徴兵される⼀⽅で、ナチス親衛隊の志願兵として最後のベルリン市街戦を戦ったスペイン⼈ボクサーはドイツでひどい⽣活を送っており、誰かが⾃分に成り代わってアルゼンチンに逃亡を企てていることなど知る由もない。第⼆次世界の実際の出来事をベースに造りだした⼈物たちが、スペインとアルゼンチンの情勢や冷戦初期の影響を共有しながら織りなすスリル満点の国際的なスパイ⼩説で、著者渾⾝の作品。