ものごとを変化させる途方もない力をもった英雄的行為についての実話に基づく小説。極限まで追い込まれた愛の物語。ある男が裁判も判決もなしに刑務所に入れられる。彼は絶望し、将来の夢をくじかれる。一見、自由を奪う抑圧勢力が勝ったかに見えた。そのとき、自由を奪われたこの男が全国民のシンボルとなった。彼が獄中から人道的論理を伝え、その反響が大きな嵐を巻き起こしたときに状況が変わる。F. X.グエン・ヴァン・トゥアンの驚くべき経験を言葉で表すのは不可能かもしれない。我々にできるのは、探求の物語を紡ぐこと、我々の最も貴重な宝「自由」を脅かす刑務所や死刑執行人に対する疑問や確信を俎上にあげることだけだ。