予報では、これがこの季節の最後の雨。ロマンチックな聖バレンタインデーなのに、フロイド・マクフライはついてなかった。公園の中でずぶ濡れで立ち、傷だらけの心を抱えた彼女は、いかにも「この恋はうまくいかない」と言われたばかりの姿。だが、茶色のコートを着た知らない男性に傘を差しだされ、彼女は楽天的な女の子に戻った。あれは誰? 候補者はふたり。そのひとりはジョゼフ・マーティン、スーパーヒーロー願望が強く、バットマンに仮装し、よくしゃべり、トラブルに巻き込まれがちな少年。もうひとりは、同居することになるフェリックス・フレデリック。雨と太陽。チョコレートとミント。多色と単色。ポジティブとネガティブ。それがフロイドとフェリックスで、正反対のふたりはかつて離れがたい仲だった。しかし、その無邪気な友情は思い出でしかない。フェリックスが抱える秘密。やがてフロイドは、それを知ることになる。