この両親を、自分で選んだわけじゃない。好みも得意なこともそう。誰を好きになるかとか……敵さえも選んだわけじゃない。才能や弱点も。罪だってそうだ。生まれる国も、愛する人たちが私たちを呼ぶのに使う名前だって、更にその愛する人たちも自分が選んだわけじゃいない。人生が私たちを選ぶのだ。そして時には、人生にも選べないことがある。心の痛みから逃れるためにある世界をでっちあげるしかない男と、新たな世界を作り上げる代わりに自らの痛みを誰かに肩代わりさせようとするもうひとりの男。つまり、孤独な父親と、迷える息子の物語だ。