キューバ戦争からすでに多くの年月が過ぎた。貧困と不幸に打ちひしがれた兵士だったアルベルト・コルネル=イ=エスピガはもう二度とみじめな思いをすることはない。彼は生き残り、新たな男になったと感じた。その予感通り富を築いてカタルーニャの上流階層と交流し、裕福な家庭をもった。時は政治的に不安定でいつ火花が散ってもおかしくない状態にあった。1901年の選挙ではカンボとプラット=ダラリバ率いるリーガ・ラジウナリスタが勝利。王党派とレルー派は暴動を起こし、政府がさらに追い打ちをかけた。カタルーニャは恐怖と不安の時代を過ごすが、それは同時に大きな夢と希望の時代でもあった。本作品は1909年にバルセロナで起きた「悲劇の1週間」を見事に再現している。絶対の真理がどこにも存在しない唯一無二の激動の時代を圧倒的な叙述力で巧みに描く。