アフリカに伝わる寓話。主人公である、世界で最も長生きで賢く、辛抱強い生き物が、いかにしてあらゆる動物を救ったかを描く。敏捷で抜け目ないウサギも、大きく威圧的なゾウも、サイも、チンパンジーも……、だれも伝えられなかった生き延びる方法を、ボアは知っていた。西洋の文化で危険や残酷さ、死を連想させる生き物だ。アフリカの伝承をもとにしたこの物語は、偏見を打ち崩すだけではなく、生物種間の均衡と調和を壊しながら、地球に住むほかの生き物たちに対して我々人類がはるか昔から握ってきた覇権に焦点を当てている。対話体をベースにした軽快なリズムの文体、プロットの巧みさ、行動の反復が、元になった口承伝説を想起させる物語。