穏やかなメロディーのように始まる物語は進むにつれ息をつくのも忘れるほどのスリラーへと展開していく。しかしそれはまた、虚構と現実が混在する別の小説の中の小説でもあった。ある小説家が青春時代に熱を上げたロックグループのギタリスト兼ボーカルに再会し、彼らの足跡をたどるためにインタビューをしたことがすべての始まりだ。年代や置かれた状況を問わず、すべての人に押し寄せる様々な感情のせめぎ合い。そして、たとえひどく危険な極限状態にあったとしても、登場人物たちの原動力でありつづける音楽に対する無条件の愛を綴る。