刻々と時間が過ぎていく中、連続殺人を阻むための唯一の手掛かりは、聖書の謎めいた数節だけだった。カステリョンの町の平穏な日々が、不気味な殺人によって乱される。無残に切り刻まれた男の死体が中心街のアパートに置き去りにされていた。ロマレス警察署長は事件解決のためにバルトロメ・モンフォルト警部に助けを求めた。前作『ファローラ広場の殺人』で語られるように、ふたりはかつてともに捜査したことがあった。被害者の身元特定で、死んだ男は、職業相談所の所長で、かなりの女好きで有名だったことが分かる。そこで最初の被害者と全く関係なさそうなふたり目の死体が発見され、事件は紛糾する。しかしモンフォルト警部の鋭い勘が冴えわたり、重要な手がかりを得て、捜査は進んでいく。