本書は日本の文化に関心のある読者が喜ぶような、スペインと日本の芸術的な文化交流に関するエッセイをまとめたものである。2013年から2014年にかけて開催された日本スペイン交流400年周年、それに続く2018年の日本スペイン外交関係樹立150周年以来、スペインにとって日本という偉大な「他者」は、距離的に離れているにもかかわらず、自らの本質を映し出す合わせ鏡のような存在だと新たな関心が向けられるようになった。本書では、スペインと日本の批評家や芸術家の視座や作品を通して、長年培われてきた交流や影響が研究されている。そうした交流や影響によって、芸術家たちは、西洋で「ジャポニスム」という現象をもたらしたミステリアスな異国情緒という従来の日本観から脱却でき、自らを省み新たな戦略を企画できるようになった。