ナタリア・セレソの最初の短編集En las ciudades escondidas (ひなびた町で)に収められた物語を読んだ⼈の⼼には、奇妙なミニマリスト感覚が残る。孤独で難解な登場人物すべてに強く感じられる、秘められた私生活。⼝に出さないこと、失ったことの中に彼らの本当の姿はある。彼らはただ、⽣きている。著者が語るのはそれだ。暑く平穏な夏に過ぎていく⼈⽣、全く何も起こらない穏やかな⽥舎町、⾯識がないように⾒えて、⼤地が震えるほど求めあっている隣⼈たち、喪失と病気によって壊れた⼦ども時代、⼦どもになる術を知らない親たちと親になりたくない⼦どもたち、私たちが知らない町で起こる数カ⽉の暮らしを描く。