サラマンカのトルメス川のほとりでラサロは生まれた。ひどく貧乏で、小さなうちから自分で食いぶちをかせがなければならなかった。幸せな世界に生きているとは言いがたかったが、利口で機転のきくラサロは、なんとかして逆境を乗り越えていく……。こうして本書は、貧しさゆえに様々な主人の元を転々とし、飢え死にしないため知性を磨いていったひとりの少年の歩みを自叙伝の形で綴る。父はなく、まだほんの子どものラサロを母はひとりの盲人にひきわたす。盲人につきそい、手をひいて生計を立てるためだ。作者不詳のスペイン文学の古典をホセ・マリア・ゴンサレス-セルナが子ども向けに再話。カルロス・デ・ミゲルがこの版のために特別に描いた、印象的で楽しいイラストつき。